あんぱんまんの旅日記 第12回


旅と出会い No2


 そもそも6月に北海道に行きたいと思ったのは数年前一度お会いしたことのある新田さんが、私がウニを好きなことを知って、「ぜひ6月中に稚内にいらっしゃい。取れたての一番おいしいウニが食べられるから」と誘ってくれたからです。ふつう市場に出回っているウニは一度ミョウバン水につけて身を引きしめてから出荷するそうです。そうしないと数時間で身がくずれてしまうそうです。その場所でその時期にしか口に出来ない味。本当のウニを思う存分食べてきました。その新田さん宅でお会いしたのが前回紹介した松本さんだったのです。
 新田さんは大阪中津の出身。原発反対運動をされていて全国を回っている時に出会われたのが稚内出身の美雪さん。本当は2人で牛を飼いたかったそうです。現在新田さんは学校の用務員さんを次の計画を考えているところだそうです。
 その美雪さんが素晴しい人なんです。生後3ヶ月の子どもさんを連れてお正月に大阪にやってくるエネルギー。子育てぶりも感心してしまいます。新田さん宅ではすべて手作り。テレビのコマーシャルを見ていても「あれ買ってネ」ではなく「あれ作ろうネ」だそうです。お母さんのことを「みゆきさん」と呼ぶ感覚。これなど私のしてきた子育てと全く同じなので、うれしくなってしまいました。新しい感覚の新しい家庭を感じます。そしてそこから21世紀の子どもが育っていくことを楽しみにしています。
最近の手紙によれば、天然酵母のパンを作ったり、ソーセージや味噌を作ったり、ニワトリを絞めたり、しまいに倉庫、車庫も手作りしてしまったそうです。他にもいろいろ遊びはあるはずなのに、モノを作る楽しさにはまってしまった人達。ワイワイガヤガヤと楽しそうな姿が目に浮かんできます。また家の空部屋を「スペースレラ」と名付けて、「遊びに来てください。自由に好きなように過ごしてください」なんていうのは、私の感覚とピッタシです。次はこのスペースレラで一杯、なんて思っています。人と出会うことの楽しさを思い知った今回の旅でした。
出発点が旅なのではない。到着点が旅であるものでもない。その過程である、その途中を味わうことに旅のおもしろさがある。『人生論ノート(三木清作)』の1文より要約